#03 小規模自立電力システム

 大きな電力系統に接続されていない自立した小さな電力システムがあります。たとえば離島です。ディーゼル発電機の燃料費を低減するために,太陽光発電や風力発電の導入が進んでいます。離島のような小規模の電力系統において,天候によって大きく発電量が変動する分散電源の占める割合が大きくなると,電力の需要と供給のバランスが崩れやすくなってしまいます。バランスが崩れてしまうと周波数が不安定になり停電に至る恐れがあります。

また,これらのインバータを介して連系される分散電源は一般的に自身で周波数を決めることができず,連系された電力系統に従って運転されます。したがって,自立した小規模な電力系統では,周波数を決める同期発電機なしには安定に運転を継続することができません。すなわち,学校や役所に設置された太陽光発電システムと各家庭の太陽光発電システムだけを並列して(同じ系統につないで)運転をすることは難しいのです。

こうした自立した小規模電力系統は離島だけではありません。地震などの非常時に停電が発生した場合には,市町村の各地域において小規模の電力システムが構成されることが期待されますが,各地域の太陽光発電を活用しようとしても同様な問題が懸念されます。

このような小規模の電力系統においてもVSG制御が適用されたインバータが活躍すると期待されます。VSG制御インバータは,同期発電機が系統になくとも,同期発電機と同じように自身で周波数と電圧を決定し運転を継続できるだけでなく,基本的には電源間であらたな通信設備を設けなくても並列して運転をすることができるのです。

マイクログリッド,スマートグリッドのようなエネルギーの地産地消を目指す小規模電力システムにも同じことが言えます。また船舶や航空機の給電システムも同じです。

このような自立した小規模電力システムの安定な運用も私たちの研究テーマです。

非常時自立系統



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